一筆に込める向き合う魂投稿者:SOSHIさん

一筆に込める向き合う魂

十二歳の少年が桂姫役として舞台に立つ。今回が二度目の出演であり、兄二人もかつてこの伝統の舞台を経験してきた。世代を超えて受け継がれるこの祭りに、少年は最後の役者として家族の思いを背負い、真剣な眼差しで化粧の時を迎える。筆をとるのは専属の化粧師。白粉を整え、紅をさす手元は静かでありながら、そこには揺るぎない集中と敬意が宿る。二人の間に言葉はなくとも、交わされる視線には「一つの役を共に創る者」としての信頼が満ちている。少年は今、姫となり、伝統の舞台に命を吹き込む。

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